タイトル:職人・工務店のためのリフォームマニュアル 計画立案編

ページ
114/156

職人・工務店のためのリフォームマニュアル 計画立案編 の114ページ目の概要です。

各ボタンで、目的のページを開いてください。

概要

職人・工務店のためのリフォームマニュアル 計画立案編 の電子ブックです。平成27年度発行 編集・発行 全国建設労働組合総連合

3-5.段差の解消、手すりの設置(1)段差の解消、手すりの設置の基礎知識日本の総人口は1億2,730万人(H25.10.1現在)で、65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,190万人となり、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は過去最高の25.1%、4人に1人という高齢化社会を迎えています。実際これらの高齢者の多くは、元気な限り自宅で過ごしたいと考えており、70歳代、80歳代になり身体の衰えを感じた時、けがをせずに安全に住まいの中で暮らせるかは、重要な問題です。図32家庭内における不慮の事故での死者数高齢者予備軍の世代(45~64歳)の老後の住宅への意識を調べたものとして、都市再生機構の都市整備公団時代(H12)の首都圏50km圏居住者を対象とした調査があります。高齢期(65歳以上のイメージ)になったときに住みたいと考える場所「終の住処」を未取得の人は35%はとなっていて、300万人に相当します。戸建の持家に住んでいる人の20%(5軒に1軒)はまだ「終の住処」を取得していない状況です。身体の衰えが出てきた時、段差の解消と手すりの取り付けで、住まい手の住宅の中での行動範囲や自分でできることの幅が大きく広がります。床には段差が無くフラットで、部屋への出入口は大きめのハンドルが付いた引戸になっており、廊下や水廻りだけでなく不便と思われる箇所に手すりが取り付けられ、住まい手がどこでもスムーズに移動できるようになっているのが、望まれる住宅の姿です。また、屋外の道路や駐車場から玄関までも段差が無く、自力で外出しやすい工夫も必要です。できれば、廊下は車いすでも十分通行できる幅があり、トイレや洗面、浴室は介護する人が同時に入れる広さが確保できると理想的です。リビングや寝室につなげたウッドデッキを設けると、段差も少なくて外部に出ることができ、ウッドデッキにスロープを付けアプローチや駐車場につなげることにより、外に出ることが苦にならなくなります。これらの備えは、高齢者が身体能力に衰えを感じても可能な限り自立でき、また、要介護者となった場合も、介護する側もされる側も気持ちを楽にするものです。110