タイトル:職人・工務店のためのリフォームマニュアル《見積り編》

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概要

職人・工務店のためのリフォームマニュアル《見積り編》 の電子ブックです。平成28年発行(ver1.0) 編集・発行 全国建設労働組合総連合

次に、疑問としてあがっていたのが、「工事範囲や工事の内容が分かりにくく、どこまでの範囲の工事なのか不安になる。」でした。これは、一式表示の見積書に多く見られた意見でしたが、材工分離で工種別や部屋別に記載された見積書でも、何故その工事が必要なのか、頼んでいない工事が含まれているのではないか不安になるとのことでした。リフォーム工事の場合、この工事範囲に関するトラブルは、多く発生していてお客様の確認ミスとして捉えられる場合が多くありますが、伝え方にも多くの問題が含まれていると考えるべきでしょう。見積書を見ると、○○工事一式、木工事一式などの表記やトイレ工事、キッチン工事一式等の部屋別の工事などの記載となっていて、別途必要な工事が発生した場合は、別に費用が必要となる旨が書かれている場合が多々あります。(中には、別工事の可能性が一切かかれていないものもあります。)ここで、お客様と事業者の考え方の違いが発生します。事業者側としては、工事内容を明確に記載して、別工事の可能性も表示していると考えていますが、お客様は建築に関しては、素人です。自分が頼んだ工事に対しての見積書であり頼んだ範囲全てに対して見積書が出ていると思い込む場合が多く、トラブルに発展する原因となっています。また、事業者側でも見積書に提示した金額以上に係る可能性があることを伝えることで、お客様との金額交渉や契約延期につながることが恐れ、見積書に記載しただけで説明を行わない例もあります。前述したように、リフォーム工事がリピート受注を期待できる工事である以上、単純に金額が高くなる可能性の提案を恐れるのではなく、何故その工事が必要なのか、何故別の工事を行う可能性があるのかの理由を明確に伝え、お客様の理解を得ることが大切となるでしょう。よく、○○さんの処の見積書が分かりやすくて良いとか自社の業務の都合に合わせて、見積もりを作成するとそのまま発注書が作成できるようにすることで業務をスムーズに行うことが出来ると考えている事業者さんも多くいます。ここで考えないといけないのは、見積書を提出する目的は何かということです。見積提出が、工事受注に向けた最終プレゼンである以上、お客様に分かりやすい見積書である必要があります。何故なら、前述したような疑問をお客様が持っていた場合、家族会議等で見積書の比較を行った場合、内容が分からなければ「金額」で判断するしかなくなるからです。見積書の提示方法によっては、自ら金額勝負の見積書となっている可能性があります。少なくとも、その記載方法を工夫するか、添付する資料の検討が必要でしょう。14