タイトル:REFORM COMPLIANCE MANUAL リフォーム事業者に求められるコンプライアンス

ページ
63/86

このページは REFORM COMPLIANCE MANUAL リフォーム事業者に求められるコンプライアンス の電子ブックに掲載されている63ページ目の概要です。

「このページを開く」か「最初のページを開く」で、ぞれぞれのページが開きます。

概要

REFORM COMPLIANCE MANUAL リフォーム事業者に求められるコンプライアンス の電子ブックです。一般社団法人 全国住宅産業地域活性化協議会

この点について、相談者が自宅の現場を確認して、板と土台は接しておらず浴室の土台と板の構造は事業者の主張するような状況にないことが分かった。また通し柱の位置を知るために自宅を友人の大工に見てもらったところ、「台所と浴室の境界にある柱が通し柱の可能性があるが、上まで登ってみないと分からない。浴室設備が撤去された状態を見ても通し柱がどれであるのか分からないのだから、工事前に通し柱が分かるはずはないと思う」というコメントだった。実際に浴室を撤去した後、土台は腐っていなかったこと、土台に接している板はないこと、また通し柱の位置が不明確であるという状況から、当センターは「浴室の土台に付いている板が腐っており、通し柱が腐って家が傾く」とはいえず、事実と異なることを告げられたため契約したものであると再度主張し、特定商取引法9条の2第1項による契約の取り消しを求めた。しかし事業者は「浴室の土台に付いている板が腐っていた」と強く反論した。事業者は契約時の「土台が腐っている」等の説明については認めず、交渉は膠着状況となったため、当センターは信販会社に相談の内容を伝え協力を求めた。信販会社は「事業者と当社との取引は長く、施工技術も信頼できる。工事代金を減額することで解決方法と考えるので事業者に働きかけたい」という回答だった。信販会社からの働きかけもあったのか、後日事業者から減額(値引き後の工事代金100万円の2分の1の50万円)に応じるとの回答があり、相談者は工事契約書の内容(「基礎工事」の具体的内容、ユニットバスのメーカーの保証内容、ユニットバスメーカーの施工要領等)を確認するとともに和解書を交わした。最近の7つのリフォーム相談事例資料編国民生活センターが公表している○問題点当センターが事業者に、通常どのように勧誘・契約するのかについて尋ねたところ、勧誘から契約に至るまで契約者の意思を確認し手続きを踏んでいると強調した。実際、今回のケースもこの手順どおりの手続きが行われており、契約意思の確認が不十分であるとは主張できなかった。今回は強引な勧誘や高齢者への販売等の問題はなく、争点は「不実告知」を行ったか否かであった。営業員の説明をめぐっては事業者と真っ向から対立し、結局「契約の取り消しに応じる」という回答を事業者から引き出すことはできずに、当初の工事代金の3分の1という結果になった。’04年11月、特定商取引法が改正され新たに取消権の規定が設けられたが、相談処理の現場では、言った、言わないの水かけ論になることも多く、取消権の規定を実際に活用し事業者に取り消しを認めさせるのは難しいといえる。なお、工事代金の支払い方法について、相談者は工事完了日に一括現金で支払いたいと申し出たが、事業者はこれを拒否し、クレジットの一括払いをしきりに勧めた。理由は営業員が持ち逃げする恐れがあるから、とのことだった。結局、工事完了日に代金全額を銀行振り込みすることで合意した。60