タイトル:工務店経営と住宅の維持管理業務から発生するリフォーム提案

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工務店経営と住宅の維持管理業務から発生するリフォーム提案 の56ページ目の概要です。

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概要

2020年 工務店経営と住宅の維持管理業務から発生するリフォーム提案 研修報告書 の電子ブックです。発行:愛知県建設団体協議会

場合、急ぎ対応を行うが何も連絡が無いのは、問題が発生していないから・・」として済ませていないでしょうか。実際には、OB顧客に対して定期的な連絡を入れなければいけないことは理解しつつも、季節のご挨拶として「年賀状や暑中見舞い、イベント案内」の送付で済ませていないでしょうか。消費者の多くは「何か床が軋む」「戸やドアがちょっとがたつく」といった生活に影響のない問題に関しては事業者に対して電話での問い合わせはしないのが現状でしょう。それこそ、雨漏りがする。ドアが閉まらない等の生活に直結する問題に関してのみ自ら事業者に連絡を取るのではないでしょうか。通常は、自宅の施工やリフォームを行った事業者から連絡があった際に確認すればいいだろうと考えているのが現状です。久しぶりにOB顧客の住宅の前を通ったら、「綺麗になっていた」とか「工事中だった」という話をよく聞きます。この場合、「うちには、連絡が無かった」「そんな客は、もううちの客ではない」と考えるのではなく「何故、うちに連絡が無かったのか?」「うちから連絡を取っていたのか?」と考えてみましょう。おそらく何らかの原因に行き当たるか、何かあったら連絡があるものと考えて全く連絡を取っていなかったのではないでしょうか?調査結果を見てもリフォームを行った消費者調査から見ると「日頃つきあいのある業者に頼む」割合が30%前後と高いのですが、前項で見た「住宅を建てた工務店やメーカーに頼んだ」割合は15%前後しかないのが実態です。この結果から見える問題は、お客様から見て「住宅を建てた工務店やメーカー」が「日頃つきあいのある業者」として見られていない割合が大きいという事です。本書の作成前に、複数の工務店様にご協力いただいてOB顧客の訪問を行って戴いたことがあります。日常の活動で殆ど連絡を取っていないお客様を対象に、事前のアポイントを取らずの突然の訪問です。協力いただいた工務店様には、非常にハードルの高い思いだったことでしょう。約束の無い突然の訪問に対し、お客様は最初怪訝な表情で対応されました。しかし、ご自分の住宅に係わった事業者の方が訪問されたことにより、次第に話が進み抱えている問題や住まいに対するご不満を話していただけました。この際ポイントになったのは、事業者の方がかけた最初の言葉が「日常はご無沙汰して申し訳ありません。○○様のお住まいが丁度10年を経過して色々な箇所にメンテナンスが必要な時期になりましたので状況の確認に合わせてご挨拶にお伺いいたしました。」だったことです。日頃、連絡が無い事をお詫びしつつ住まいそのものが10年以上の時期を経た場合、住宅に不具合が出る可能性がある事を伝え、築後10年以上の住宅を中心にまわって問題のヒアリングに伺ったことを伝えることがポイントです。結果としては、既にシーリング等の打ち換えを他社に発注して工事をしたお客様や住宅そのものには問題を感じていないが生活スタイルが変わったことによって、不便を感じていて相談が始まったお客様、何もありませんと言いつつ目視による問題を指摘するとその対応に対するご相談が始まったお客様など補修やリフォームの相談が始まったお客様も多数いらっしゃいました。実際には、「お伺いしてご挨拶をする。その後の訪問やご連絡をさせていただく了解を戴く。」の流れになるのが大多数です。しかし、お伺いすることで初めて事が動き出します。「連絡がないから問題が発生していない」ではなく「不具合や不安がないか定期的に確認する」ことが必要であることを認識しましょう。全ては、そこから始まります。?54?