タイトル:リフォームに関するクレームの実態 -心構えと対処法-

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概要

リフォームに関するクレームの実態 -心構えと対処法- の電子ブックです。

既存下地の調整1.既存床の状況が仕上げの精度のカギを握っています。1下地となる既存床の状況を正確に把握する既存下地の状況を把握せずにリフォーム工事を行ったことが、クレームの原因になっている事例が多くみられます。既存撤去や廃棄を行わず、仕上げ材だけを既存の床の上に直貼りするリフォーム用薄型床材の直貼り工法と、既存床を剥がし適切な下地調整の後にフローリングを新たに施工する場合を比較すると、工期とコストが3~4倍になります。特に床のリフォームでは、このリフォーム専用の1.5~6.0mmの薄貼り床材が多く発売されていますが、これは、メーカーの注意書きにあるように、既存の床が平坦でしっかりしていることが必須になっており、床鳴りがある場合には重ね張りはできなくなっています。したがって、下地となる既存床の状況を正確に把握する必要があります。2床の平坦さの精度床の平坦さには、短い距離での凹凸が起きている場合と長い距離(3m程度)で傾きがある場合の2種類があります。短い距離での凹凸は、床の根太間で下地合板もしくは床材が劣化している場合が多く、この直貼り床材は採用できず、適切な厚さの下地合板の張替えが必要になります。また、床の傾きは尺度として3/1000と6/1000があり、3/1000を超えると床の構造に欠陥がある可能性があり、6/1000を超えると欠陥とみなされます。これらの場合も、根太等下地からの改修が必要になります。3下地となる既存床の状況を施主に説明し、合意を得るここで問題となるのは、傾斜が3/1000未満の場合です。3/1000未満といっても、最大で3.0mで9mmもある訳ですから当然ビー玉は転がります。しかし、1/1000の3mmぐらいだとビー玉も転がりにくく傾斜に気づくことはあまりありません。こうした状況の場合にあっては、3/1000が1つの尺度で傾きがそれ以下であることと、下地等のたわみが起きていないこと、下地から改修するとコストと工期が延びることを施主に説明し、合意を得たうえでリフォーム用の床材を使う必要があります。4コンクリート直貼り工法の既存床の場合の注意点コンクリート直貼りの長尺シートの上に、上記のリフォーム用直貼りフローリングを採用する場合がありますが、長尺シートに比べリフォーム用フローリングは硬く、細かな凹凸に追従できないので、長尺シートでは目立たなかった床の凹凸が思わぬ不陸を招く場合があります。既存の床がセルフレベリング材で水平にかつ平坦に作られていることを確認し利用するようにしましょう。また、長尺シートを剥がして直貼りを行う時は、既存長尺シートの接着剤の残りや下地モルタル等の剥がれに注意し、水平でかつ平坦な下地を作ることが必要です。44