タイトル:リフォーム現場のトラブル回避ノウハウ 準備編

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リフォーム現場のトラブル回避ノウハウ 準備編 の58ページ目の概要です。

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概要

リフォーム現場のトラブル回避ノウハウ 準備編 の電子ブックです。一般社団法人JBN・全国工務店協会

第3章現地調査(戸建て住宅)8外壁のひび割れが雨水の浸入に関連する場合リフォームに付随して行ったインスペクションで発見された外壁のひび割れについては、構造躯体まで雨水が浸入するかどうか、そのまま放置することで劣化の進行が早まるかどうか、構造的な問題で発生したものかどうかといった観点から判断します。構造体まで雨水が浸入するものは、雨漏りと認識され早急に補修をする必要がありますが、新築後10年以内の住宅であれば、品確法により新築時の施工者が無償で補修するべきものとなります。瑕疵担保期間が過ぎた建物で、大掛かりな補修が必要な場合、元々想定されていない工事でもあることから費用的に対処不可能であることもあります。その場合、応急処置としてシーリングを施すだけにとどめ、シーリングの劣化が想定される時期に完全補修を行うといった選択肢も提示できると良いでしょう。近年の建物は、外壁通気層工法が主流であるため、二次防水である透湿防水紙の施工が正しく行われていれば、外壁材のひび割れが直接雨漏りにつながる可能性は低いのですが、この施工に問題があった場合は雨漏りに直結することもあるため、外壁に生じたひび割れは補修を行うべきでしょう。下地防水の工事を正しく行い、躯体内への雨水の浸入がない状況であれば、同じひび割れであっても、表面の劣化症状としてのメンテナンス工事とみなされ、補修費用をいただくことも可能になります。この差を認識して、下地防水を施工する際は、有効に機能するよう気を付けましょう。ひび割れ幅が小さい、浅い場合、雨漏りに直接つながらないことから著しい劣化事象として認識されません。しかし、表面塗装が切れ、サイディングであれば基材に、モルタルであればモルタル部分に水が染み込むような状況である場合は、そのひびの部分から水分が入防水紙り蒸発を繰り返すことで、外壁仕上げの塗装の剥離や、サイディング基材の劣化の進行が速くなりますので、少なくとも水が塗膜の裏ヒビ側に浸透しないような補修が行えると良いでしょう。水切り1ひび割れは一般の人でも気づくもの。見落としは後々のクレームになることも。シーリングの施工を誤り雨水が内部に逆流した例2補修工事が大きくなってしまう場合は、仮補修で済ませることも。その場合、いつごろまで仮補修が持つのか、費用はどのくらいかかるかといった情報を提供して施主の判断を仰ぐ。3二次防水が正しく設置されており、躯体内に浸入することがなくなれば、品確法上の雨水の浸入に関する部分の瑕疵担保責任による対応ではなく、表面の劣化の補修工事になる。4ひび割れが小さくても、水分が塗膜の裏に入り込む、あるいは染み込む状況であれば、雨水が入らないように補修を行うと、当該部材が長持ちする。58