タイトル:リフォーム現場のトラブル回避ノウハウ 準備編

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概要

リフォーム現場のトラブル回避ノウハウ 準備編 の電子ブックです。一般社団法人JBN・全国工務店協会

7内壁に結露及びカビの症状があったらリフォーム現場のトラブル回避ノウハウ準備編内壁表面やクロスの裏側に結露症状があり、その結果としてカビが生じてしまっている場合があります。例を挙げると、和室の聚楽壁部分に染み跡のようなカビが見られる、洗面脱衣室の壁面下部に黒カビが見られる、居間のテレビボードの背面の壁に黒カビが見られる、などです。この原因として挙げられるのが、第2章でも触れましたが、昭和年代の住宅は、転がし根太が一般的であったため、床板と土台の間に隙間が生じ、冬季の冷たい床下の空気が外壁や間仕切り壁に流入しやすく、特に床に近い位置の壁面が冷やされてしまうことです。塗り壁などの冷えやすい素材で仕上げられており、申し訳程度の断熱材も外壁面に押し込まれ、室内側には隙間が生じており、通常は非暖房室となっている和室、使用時と空室時の温度差が大きく、使用時には多量の湿気が流入する洗面脱衣室、壁際に設置された家具の裏で空気が動かない状況が作られる居間などの壁面で結露が生じ、繰り返されることによりカビが生えているということが数多く見受けられます。この場合、カビの生えている部分のクロスを張り替えただけでは、当面は表面上きれいな状態が確保されますが、結露を生じさせる根本的な原因が改善されていないため、再度結露が生じ、従前と同じようなカビが発生することになります。これを解消するには、壁面にカビがあるという症状を提示して表面だけのリフォームで終わるのではなく、根本的な原因となっている部分の現状と改善方法と費用について提示し、施主の判断を仰げると良いでしょう。具体的には、断熱材を隙間に充填する方法や木材をはめ込む方法などにより、床下の空気が壁内に侵入しないように事前の床下チェックを行い、実情に見合った方法で補修を行うようにしましょう。そこまでの補修工事を行わない場合でも、そうした情報を書面で提供しておくことは、リフォーム工事の際に気づかずに表面だけの補修を行って、結露が再発し、クレームになるという悪循環を防ぐためにも役立つでしょう。1建築年代により、窓だけでなく内壁にも結露が起きカビが発生している場合がある。2結露が生じやすい内壁面は、非暖房室になりがちな和室の塗り壁部分、浴室の出入りの際に大量の湿気が流入する洗面脱衣室の床面近くの内壁面、居間などの暖房室で壁際においてある箪笥などの収納の背面と近接している内壁面などである。3根本的な原因である床下と内壁との間にある隙間をなくす方法を検討する。4費用等の問題により、根本的な部分の補修を行わない場合、リスクの説明を行ったうえでの施主の判断である旨書面で記録できると良い。57